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アパート外壁の種類を徹底網羅! 寿命を延ばすメンテナンス術とは

  • 2025年12月26日
  • 2025年12月26日
アパート外壁の種類を徹底網羅! 寿命を延ばすメンテナンス術とは

築10年を過ぎたアパート。隣の物件は満室なのに、なぜうちは空室が埋まらないのか——。

その答えは「外壁」にあるかもしれません。

外壁は建物を守る最前線であり、入居希望者が最初に目にする「物件の顔」です。適切なメンテナンスを怠ると、見た目の印象が悪化するだけでなく、雨漏りや構造劣化といった深刻な問題を引き起こし、修繕費が数百万円単位で膨れ上がることもあります。

一方で、正しい知識をもとに計画的にメンテナンスを行えば、建物の寿命を延ばし、入居率を維持しながら、長期的なコストを大幅に削減できます。

本記事では、アパートで使われる6種類の外壁材それぞれの特性と、外壁材ごとに最適なメンテナンス方法を具体的に解説します。あなたの物件に合った戦略を見つけ、資産価値を守る第一歩としてください。

目次

1. アパート外壁材6種類を徹底比較 – あなたの物件はどのタイプ?

1-1. 窯業系サイディング【シェアNo.1の定番外壁】

セメントと繊維質を高温・高圧で成形した板状の外壁材です。日本の新築アパートの約70%で採用されています。

メリットデメリット
高い耐火性で火災保険が有利吸水性があり、防水対策が必須
デザインバリエーション豊富(100種類以上)シーリング劣化で雨漏りリスク
初期コストが比較的安価塗装メンテナンスが8~12年ごと必要
外壁材自体の寿命は約30年寒冷地では凍害リスクあり

重要ポイント:
最大の弱点は「水に弱い」こと。塗膜が劣化すると水を吸い込み、反り・割れ・凍害などを引き起こします。塗装とシーリング補修はセットで行うのが鉄則です。

1-2. 金属系サイディング(ガルバリウム鋼板)【近年注目の高耐久外壁】

アルミ・亜鉛めっき鋼板を使用し、裏面に断熱材を貼り合わせた複合素材です。

メリットデメリット
超軽量で建物への負担が少ない傷がつくとサビのリスクあり
ひび割れがほぼ発生しない沿岸部では塩害対策が必須
メンテナンス周期が長い(15年程度)金属特有の「音」が響きやすい場合も
カバー工法で既存外壁の上に施工可能初期費用がやや高め

重要ポイント
初期費用はやや高めですが、メンテナンス頻度が少なく、30年間のトータルコストでは最も経済的になるケースが多いです。沿岸部では5km圏内なら防サビ対策を強化した塗料選びが必須です。

1-3. モルタル外壁【職人技が光る伝統的外壁】

セメントと砂を水で練り、左官職人が塗り重ねて仕上げる湿式工法で、窯業系サイディングなどと違い、目地(継ぎ目)がないのが特徴です。

仕上げ方法によって、さまざまな見た目になります。

メリットデメリット
デザイン自由度が高く、高級感があるひび割れ(クラック)が発生しやすい
継ぎ目がないため水の侵入経路が少ない施工品質が職人の腕に左右される
耐火性・耐久性に優れるメンテナンス頻度が高め(8~10年)

重要ポイント:
宿命は「ひび割れ」。幅0.3mm以上のひび割れは雨水が浸入する危険信号です。弾性(伸縮性)を持つ塗料を採用することで、ひび割れに追従して防水性を維持できます。

1-4. ALC(軽量気泡コンクリート)パネル【中高層アパートの定番】

内部に気泡を含む軽量コンクリート製のパネルです。

耐火性・断熱性・遮音性に優れ、3階建て以上のアパートで多く採用されます。

メリットデメリット
優れた耐火性能(耐火建築物に対応)吸水性が非常に高く、防水対策が必須
断熱性・遮音性が高い塗装メンテナンスが不可欠(7~10年)
施工性が良く、工期短縮可能衝撃に弱く、欠けやすい

重要ポイント:
「スポンジのように水を吸う」性質があります。特にパネル間の目地シーリングが劣化すると内部結露を引き起こし、鉄筋腐食のリスクも生じます。

1-5. タイル外壁【マンションの外壁に広く採用】

磁器タイルは、粘土を高温焼成した陶磁器質の外装材です。高級アパートやマンションで採用され、高い耐候性と美しい外観が魅力ですが、ひび割れが起こってしまった際の剥離事故のリスクを避けるため、代替素材への移行を検討する声もあがっています。

メリットデメリット
塗り替え不要でメンテナンスが最小限初期費用が非常に高い
紫外線・酸性雨に強く色褪せしないタイルの浮き・剥落のリスクあり
高級感があり入居者訴求力が高い地震時の剥落対策が必要

重要ポイント:
「初期投資は高いが、30年トータルコストは最安」になる可能性があります。ただし、築10年を超えたら「打診調査」で浮きをチェックし、剥落事故を防ぐことが重要です。

1-6. RC(鉄筋コンクリート)打ちっぱなし【デザイナーズ物件に多い】

コンクリートの躯体をそのまま仕上げ材として使用する外壁です。

メリットデメリット
独特のデザイン性で差別化できる防水対策が最重要課題
耐火性・耐久性・遮音性が最高レベルひび割れ・汚れが目立ちやすい
重厚感があり高級感を演出定期的な撥水処理が必須(5~7年)

重要ポイント:
「美しさを保つには最も手間がかかる外壁」です。撥水剤を5~7年ごとに塗布しないと、雨染みや白華現象(エフロレッセンス)が発生します。

1-7. 【比較表】6種類の外壁材 一覧

外壁材初期費用メンテナンス周期30年トータルコスト耐久性おすすめ物件
窯業系サイディング安価8~12年約30年一般的な2階建て
金属系サイディングやや高15年~40年以上全物件
モルタルやや高8~10年中~高デザイン重視
ALC7~10年中~高3階建て以上
タイル非常に高15年非常に高高級志向
RC打ちっぱなし5~7年非常に高デザイナーズ

2. 外壁材選びの新常識 – 3つの判断軸で最適な選択を

※各種数値は目安であり、物件の構造・環境により異なりますので予めご留意ください

2-1. 【メンテナンス周期×ライフサイクルコスト】で選ぶ

各外壁材のメンテナンスの周期を把握し、自分がいつまでその物件を所有するのかを踏まえてライフサイクルコストの観点から選択をするのも1つの手です。
以下に各外壁材の比較をまとめましたので、参考になれば幸いです。
(※各種数値は目安であり、物件の構造・環境により異なりますので予めご留意ください)

外壁材メンテナンス周期メンテナンスの重点
窯業系サイディング8~12年ごと塗膜とシーリングの防水機能維持
金属サイディング15年程度防サビ対策と塗膜の耐候性維持
モルタル壁8~10年ごとひび割れ補修と弾性塗料での防水
ALCパネル7~10年ごとシーリングと塗膜の防水機能維持
タイル15年ごとタイルの浮き点検と目地補修
RC打ちっぱなし5~7年ごと撥水処理とひび割れ補修

2-2. 【地域特性】に合わせて選ぶ

立地環境主な劣化要因推奨外壁材避けるべき外壁材
沿岸部(海から5km以内)塩害によるサビタイル、窯業系金属系(未対策)
豪雪地帯・寒冷地凍害、ひび割れ金属系、ALCモルタル(弾性なし)
雨が多い・湿度が高い地域カビ、藻、コケ金属系、タイル窯業系(未対策)
都市部・幹線道路沿い排気ガスによる汚れタイル、金属系モルタル(白色)

2-3. 【入居率×資産価値】で選ぶ

「外観が古い」物件は、同条件の競合物件より家賃を5~10%下げないと入居者が決まらないというデータがあります。

外壁材入居者への訴求力美観維持のしやすさ総合評価
窯業系サイディング定期塗装で維持可能コスパ高
金属系サイディング中~高色褪せしにくい長期的にコスト削減
モルタルひび割れ対策が必要デザイン重視向け
ALCパネル定期メンテナンスで維持中高層向け
タイル非常に高ほぼメンテナンスフリー差別化を図りたい物件向け
RC打ちっぱなし高(層を選ぶ)美観維持に手間デザイナーズ志向

3. 外壁メンテナンスの考え方

3-1. 定期的な点検の実施が非常に重要

ご自身で外壁材の種類を判別したり、劣化の程度を見極めるのは至難の業です。メンテナンスのための点検・診断は必ずプロに依頼するようにしましょう。
ご自身でも見てみたい!と言う方は、以下の項目に着目して物件の状態を見てみてください。

劣化症状確認ポイント危険性
チョーキング現象手で触って白い粉が付く防水機能が低下
シーリングの劣化目地に亀裂や剥がれ水の浸入を招く
ひび割れ(クラック)幅0.3mm以上のひび割れ雨水が内部に浸入
カビ・藻・コケ緑色や黒色の汚れ防水性が低下
サビの発生赤茶色の変色金属の耐久性低下
塗膜の剥がれ・浮き剥がれかけている箇所防水機能が完全喪失

3-2. 外壁塗装のタイミングと適切な塗料選び

外壁材別の塗り替えタイミング

外壁材理想的な塗り替え時期劣化症状が出る時期放置した場合のリスク
窯業系サイディング10~12年8年前後雨漏り、外壁材の反り
金属系サイディング12~15年10年前後サビの発生と拡大
モルタル8~10年7年前後ひび割れからの雨水浸入
ALCパネル7~10年6年前後急速な劣化、鉄筋腐食
RC打ちっぱなし5~7年4年前後雨染み、白華現象

塗料グレード別の特徴

塗料グレード耐用年数費用感おすすめケース
ウレタン塗料7~10年安価予算重視の場合
シリコン塗料10~15年標準的な選択
フッ素塗料15~20年長期保有の物件
無機塗料20年以上最も高高級物件、長期保有

外壁材別の推奨機能性塗料(最終判断はプロに任せましょう)

外壁材推奨される機能理由
窯業系サイディング低汚染性、防水性吸水性があるため
金属系サイディング防サビ性、遮熱性サビ対策が必須
モルタル弾性、防水性ひび割れに追従が必要
ALCパネル高防水性、透湿性高い吸水性に対応
RC打ちっぱなし撥水性、防汚性雨染みや汚れを防ぐ

また、外壁塗装と同時にシーリングの打ち替えを行うことで、足場代を節約でき、トータルコストを抑えられます。

4. 【事例付き】外壁材別の失敗しないメンテナンス戦略

4-1. 窯業系サイディングのメンテナンス戦略

推奨メンテナンススケジュール

築年数メンテナンス内容費用目安(100㎡)
築5年点検のみ無料~数万円
築8~10年塗装+シーリング打ち替え100万円~150万円
築18~20年2回目の塗装+シーリング打ち替え100万円~150万円
築30年前後張り替えまたはカバー工法200万円~300万円

※各種数値は目安であり、物件の構造・環境により異なりますので予めご留意ください


成功事例:築8年で塗装とシーリング打ち替えを実施。高耐久のフッ素塗料を採用し、次回メンテナンスを15年後に延長。30年間で塗装回数を3回→2回に削減し、約80万円のコスト削減。

失敗事例:築12年まで放置。シーリング劣化から雨水が浸入し、外壁材の部分交換が必要に。費用が当初見積もりの1.5倍に。


4-2. 金属系サイディングのメンテナンス戦略

推奨メンテナンススケジュール

築年数メンテナンス内容費用目安(100㎡)
築3年点検(特に沿岸部)無料~数万円
築12~15年塗装(防サビ塗料)+傷補修80万円~120万円
築25~30年2回目の塗装80万円~120万円

※各種数値は目安であり、物件の構造・環境により異なりますので予めご留意ください

成功事例:海から3kmの物件。築5年で軽微なサビを発見し、早期に防サビ処理。築12年で防サビ性能の高いフッ素塗料で塗装し、以降15年間サビの発生を抑制。

失敗事例:沿岸部で小さなサビを放置。5年間でサビが広範囲に拡大し、一部パネルの交換が必要に。通常の塗装工事の約2倍の費用。


4-3. モルタル外壁のメンテナンス戦略

推奨メンテナンススケジュール

築年数メンテナンス内容費用目安(100㎡)
築5年点検、微細なひび割れ確認無料~数万円
築8~10年クラック補修+弾性塗料塗装100万円~150万円
築18~20年2回目のクラック補修+塗装100万円~150万円

※各種数値は目安であり、物件の構造・環境により異なりますので予めご留意ください

成功事例:築8年でクラックが多数発生。弾性塗料を採用し、その後10年間、新たなクラックからの雨水浸入を防止。頻繁な補修が不要となりコスト削減。

失敗事例:硬質塗料(一般的なシリコン塗料)を使用。塗装後3年で新たなクラックが発生し、塗膜が追従できず再塗装が必要に。


4-4. ALCパネルのメンテナンス戦略

推奨メンテナンススケジュール

築年数メンテナンス内容費用目安(100㎡)
築5年点検、シーリング状態確認無料~数万円
築7~10年塗装+シーリング打ち替え100万円~160万円
築15~18年2回目の塗装+シーリング打ち替え100万円~160万円

※各種数値は目安であり、物件の構造・環境により異なりますので予めご留意ください

成功事例:築7年で高防水性の無機塗料を採用し、シーリングも打ち替え。その後15年間、外壁の劣化を最小限に抑制。メンテナンス周期を延長しコスト削減。

失敗事例:塗装のみ実施し、シーリング打ち替えを先延ばし。塗装後2年でシーリング部分から雨水が浸入し、内部結露が発生。再度足場を組んでシーリング打ち替えを行い、足場代が二重に。


4-5. タイル外壁のメンテナンス戦略

推奨メンテナンススケジュール

築年数メンテナンス内容費用目安(100㎡)
築10年打診調査(浮きの確認)5万円~10万円
築15年目地補修+部分タイル補修30万円~60万円
築25年2回目の打診調査+目地補修30万円~60万円

※各種数値は目安であり、物件の構造・環境により異なりますので予めご留意ください

成功事例:築10年、20年、30年の節目で打診調査を実施し、浮いたタイルを早期発見・補修。タイル剥落事故を防ぎ、美観と安全性を維持。

失敗事例:築15年間一度も点検せず。タイルが剥落し通行人の車に当たる事故が発生。損害賠償と全面的なタイル補修で予想外の大きな出費。


4-6. RC打ちっぱなしのメンテナンス戦略

推奨メンテナンススケジュール

築年数メンテナンス内容費用目安(100㎡)
築3年点検、雨染み・白華現象確認無料~数万円
築5~7年撥水剤塗布+クラック補修50万円~80万円
築12~14年2回目の撥水剤塗布+クラック補修50万円~80万円

※各種数値は目安であり、物件の構造・環境により異なりますので予めご留意ください


成功事例築5年ごとに撥水剤を塗布し、雨染みや白華現象の発生を防止。築20年を経過しても新築時の美しいコンクリート打ちっぱなしの風合いを維持し、高い入居率を維持。

失敗事例:撥水処理を行わず築10年を迎えた結果、雨染みと白華現象が広範囲に発生し美観が著しく低下。入居率が下がり家賃を下げざるを得ず、撥水処理を行ったが完全には元の美しさを取り戻せず。


まとめ:長期的視点でのメンテナンス計画が資産価値を守る

外壁メンテナンスの5つのメリット

  1. トータルコストの削減:早期発見・早期対応で大規模修繕を回避
  2. 建物の寿命延長適切なメンテナンスで構造体を長期間保護
  3. 入居率の維持・向上:美しい外観で空室リスクを低減
  4. 資産価値の維持:売却時にも高い評価を獲得
  5. 安全性の確保:事故を防ぎ、オーナー様の責任リスクを軽減

外壁メンテナンスは「コスト」ではなく「投資」です。目先の費用を惜しむと、結果的に大きな出費を招きます。本記事でご紹介した外壁材別の特性とメンテナンス戦略を参考に、ご自身の物件に最適な計画を立て、大切な資産を長く守っていきましょう。

外壁のことでお困りの際は、信頼できる専門業者に相談し、建物診断を受けることをおすすめします。

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運営会社

株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。

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