マンション大規模修繕で起こるトラブルとは?原因・事例・対策をまとめて解説
- 2026年02月03日
- 2026年02月27日
マンションの大規模修繕は非常に大きなイベントです。一般の修繕とは違い、修繕の範囲が建物全体に及びます。しかも、支払う費用は非常に高額。失敗は許されません。
しかし、残念ながら大規模修繕に関するトラブルは非常に多いと聞きます。全国を考えるならば、相当な数になるのではないでしょうか。
そこで、この記事ではマンションの大規模修繕で起こるトラブルにスポットを当て、原因・事例・対策を解説します。
目次
1. マンション大規模修繕とトラブルの原因
まずはマンションの大規模修繕について確認し、その後でトラブルの原因について取り上げます。
1-1. 大規模修繕とは何か?
マンションの大規模修繕はマンションの建物全体の修繕工事を指します。
日常的な修繕は部分的なトラブルがほとんどです。例えば、ポストの破損や照明器の補修などが該当するでしょう。
しかし、大規模修繕は共用部分、外壁や屋上防水、共用廊下や階段などの補修です。
これらに不具合が発生しているとマンション全体に悪影響を及ぼしかねません。防水に不具合があった場合には雨漏りにも繋がり得ます。
その点、大規模修繕でメンテナンスをしておけば、そのような事態を避けられるのです。
1-2. トラブルの一般的な原因
大規模修繕のトラブル発生はコミュニケーション不足がもととなるケースが多いです。
例えば、以下のようなトラブルを聞きます。
- 「契約内容が不明瞭だ」
- 「予算オーバーだ」
しかし、そのようなケースであっても「コミュニケーションの不良」が大きな原因とも言えるのではないでしょうか。
例えば、「契約内容が不明瞭」という問題に関しては、事前に連絡が取れていれば回避ができたかも知れません。
また、予算に関しても、コミュニケーションが取れていれば、事態の深刻化の前に対処ができていたかも知れないからです。
ちなみに、契約内容の認識に行き違いがあった場合はトラブルの深刻化が懸念されます。事前の対処があれば、予防もし得たのです。
1-3. 修繕費に関する統計
「マンション修繕費指数」という数値をご存じでしょうか。
これは一般財団法人 経済調査会の出している統計で、2013年を起点の100として、その後のマンションの修繕費の変動を示す指数です。
それを見ると、2025年のマンションの修繕費用が2013年と比べて161.1ポイントにもなりました。約1.6倍、それだけ修繕費用が高騰しているのです。
ちなみに、マンションは大規模修繕のために修繕積立金を使いますが、積立を始める前には修繕費の高騰は予測し得なかったと思われます。それだけに大規模修繕がトラブルになりやすいことを意味するのです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 指標名 | マンション修繕費指数 |
| 公表元 | 一般財団法人 経済調査会 |
| 基準 | 2013年を起点の100 |
| 2025年の指数 | 161.1ポイント |
| 変動 | 約1.6倍 |
2. 工事前に発生するトラブル事例
次に、工事で発生するトラブルの事例を取り上げましょう。

2-1. 修繕委員会の意見がまとまらない
修繕委員会の意見がまとまらない場合があります。大規模修繕は合意のもとで行われるべきなので、この状況は望ましいものではありません。
また、そのように話がまとまらない場合、人によっては感情的になってしまいます。
そのため、状況によっては、ますます話がこじれるかも知れません。委員会内で反目するようになったら、コミュニケーションにも支障が出ますので厄介です。
ちなみに、この状況は定期的にミーティングを開くことによって解消される場合もあります。前に述べたコミュニケーションの問題も解消されるかも知れません。
2-2. 施工業者選定でのトラブル
施工業者の選定をめぐってのトラブルもあります。
例えば、複数の業者から見積りを取っても、提案して来る仕様も費用もバラバラだと単純比較ができません。
特に、塗装はオーバースペックの仕様を提案して来るケースが少なくないので、業者ごとに見積りが違うことが多いです。業者によっては非常に安い金額を提示して来るケースもあります。
そのため、金額を優先させるかスペックを優先させるかで修繕委員会の中で対立が生じます。その対立が大きく膨らむと業者選定をめぐるトラブルにも発展するのです。
2-3. 価格が合わない
価格の問題もトラブルのもとです。
特に、昨今は修繕工事の費用が上がっているので、予算が合わないケースが少なくありません。そのため、追加の出資などをめぐってのトラブルが見られます。
原因としては以下のようなケースなど。
- 最初に立てた修繕計画が甘かったり
- 工事単価が昔のままで計算されていたりするケースなど。
ちなみに、マンションの規模が大きくなると、それだけ修繕費用が大きく膨らみます。
それに対して住民側は「こんな金額は聞いてない」と反発し、トラブルになるのです。
3. 工事中に起こるトラブル事例
次に、工事中に起こるトラブル事例を挙げてみましょう。
3-1. 騒音や振動による居住者の不満
騒音や振動による居住者の不満もトラブルのもとです。大規模修繕は共用部分の工事となるので、工事の騒音が容赦なく居室に入ってしまいます。しかも、工事は長くなるケースも少なくありません。

これが多くの居住者の不満となり、トラブルにも発展するのです。
なお、時として「聞いてなかった」という声が聞こえるかも知れません。これは前にも述べたコミュニケーション不良によるもの、とも言えるでしょう。
3-2. 工事の進行状況が分からない場合
工事の進行状況が知らされていないためにトラブルになるケースもあります。
例えば、居住者が「工事が遅れている」と誤解するケースです。工事が遅れる要因はいくつもあります。天候の問題もありますし、資材の搬入状況などもあるでしょう。
しかし、その悪条件の説明がないままでいると「工事が遅れているのではないか」と疑心暗鬼になり、トラブルにもなるのです。
3-3. 近隣住民からの苦情
大規模修繕工事の騒音や振動は、近隣から見れば迷惑でしかありません。トラブルにもなり得るのです。
ちなみに、このトラブルは近隣への説明の状況によっても変わり得ます。
例えば、工事の前に近隣住民に説明をしておけば、そのようなトラブルにまで発展しなかったかも知れません。これもコミュニケーション不足の悪い結果とも言えそうです。
4. 工事後に発生するトラブル事例
次に、工事後に発生するトラブル事例を挙げてみましょう。
4-1. 施工不良による問題
施工不良は最も大きな問題になり得ます。
例えば、以下のような場合。
- 防水工事の品質が悪く、想定していたよりも早く雨漏りが発生した場合。
- あるいは、塗装した部分がポロポロと剥がれて来る場合です。

マンションの大規模修繕工事は規模が大きいので、発生する費用も高額です。それだけに問題は大きくなり、場合によっては裁判にまで発展するかも知れません。
4-2. 追加費用の請求
追加費用の請求もあります。これも大きなトラブルのもとです。
例えば、以下のようなケースがあります。
- 「想定していたよりも劣化が進んでいた」
- 「修繕する箇所が想定していたよりも多かった」
尚、工事中に新たに見つかる修繕箇所は珍しくありません。劣化は見えない部分で進んでいるケースも多いため、「開けて見なければ分からない」ことも多いのです。
5. トラブルは「対処」と「予防」のどちらが重要か?
マンションの運営にはトラブルが付き物です。発生する度に対処をしなければいけません。そして、トラブルの対処には費用が相応に発生します。
しかし、そこで視点を変えてみたいことがあります。……トラブルは「対処が重要」なのでしょうか。それとも「予防が重要」なのでしょうか。
5-1. トラブル予防の重要性
トラブルを「予防」と「対処」の2つの観点から考えてみましょう。
まずは「予防」ですが、これは「トラブル発生を未然に防ぐこと」とも言えます。つまり、実害が発生する前に対策を取ることです。
それに対して「対処」は「トラブルが発生した後での行動」です。つまり、大なり小なりの実害が発生してからの処置となるのです。
ところで、ここで忘れるべきでないのが「二次的被害」。トラブルには二次的被害の発生が珍しくありません。しかも、経済的損失を考えれば、二次的被害の方が甚大である場合もあるのです。
例えば、「雨漏り」によって「家財が汚れる」ということ。これは経済的損失です。
高級家具が雨漏りで汚れてしまったら、その家具は価値が落ちないでしょうか? また、責任は誰が取るのでしょうか?
その点、「予防」をしっかりと行っていれば、家財への悪影響も最小限で食い止められます。場合によっては「対処」よりも重要性が増すのです。
5-2. 対処の方法も万全に
しかし、いくら予防に努力をしたとしても、トラブルの発生はどうしても避けられません。そのため、対処の準備もしておくべきでしょう。
例えば、いくら防水部分を補強したとしても、想定外のアクシデントはあるものです。台風などで大きな飛来物があったらどうでしょうか。……場合によっては防水部分が破損してしまい、雨漏りにも繋がり得るのです。
そのような事態もあるため、対処の手段もしっかり考えておくべきでしょう。
6. トラブルの予防策には何があるか?
このように、トラブルの予防は非常に重要です。
では、具体的なトラブルの予防策にはどのようなものがあるのでしょうか?
6-1. 居住者とのコミュニケーション
先にも挙げましたが、トラブルは居住者とのコミュニケーション不足が関係している場合が多いです。
修繕委員会で話がまとまらない問題も、日頃のコミュニケーションが上手く行っていれば回避できたかも知れません。他の問題でもコミュニケーションが絡む問題はあるでしょう。
ですから、居住者とのコミュニケーションを積極的に取ってみてはいかがでしょうか。
上手く行けば「仲間意識」も持てるかも知れません。「仲間で生活環境を向上させよう」という気運が生まれたならば万々歳。
居住者が協力して大規模修繕を乗り切ることもできるでしょう。
6-2. 情報を積極的に収集する
情報収集も非常に重要です。これは業者との打ち合わせのために必要だからです。
例えば、マンションに関する知識がないままで業者と打ち合わせたならばどうなることでしょうか?
場合にもよりますが、交渉でイニシアチブを取られてしまい、知らない内に不利な条件で契約をさせられることがあり得るからです。
しかし、十分な情報を握っていれば、交渉で振り回されることも少なくなり、損をすることも無くなります。
6-3. 管理会社との連携を密にする
マンションの運営においては不動産管理会社が重要な位置を占めます。大規模修繕にしても重要な位置にあります。実質的な業者決定権を持つ場合もあるからです。
そのような背景もあるので、管理会社とは連携を密にすることが必要にもなります。
連携が強化できたならば、こちらにとって有利な条件で対応してくれるかも知れません。
価格も関連し得る問題なので、話は重要なのです。
6-4. 信頼できる業者の選定
信頼できる業者の選定は工事の品質に大きく影響するので、非常に重要と言えます。
例えば、先に施工不良の話を挙げましたが、業者が良質であれば、そのような事態は起こりません。
ちなみに、悪質業者もゼロではありません。業者選定を誤ると、工事の品質まで著しく落ちてしまうのです。
6-5. 業者のサービスの範囲を確認する
業者のサービスの範囲を確認することも大切です。
例えば、契約の中に無料でのアフターフォローが謳われていたとしても、無料での範囲はいつまでなのかが確認していなければ片手落ちです。
しかし、サービスの範囲を理解して置けば、仮に問題が発生したとしても、対処は比較的容易になるとも思われます。
7. トラブルに対する対処方法とは?
ここまでトラブルの内容や予防策などを取り上げました。トラブルの完全回避は難しく、予防にも限界があることを把握できたことと思います。
では、実際にトラブルには、どのような手順で対処すれば良いのでしょうか。
7-1. 専門家への相談
まず挙げられるのが専門家への相談です。
マンション運営には多くのノウハウが必要で、簡単に習得できるものではありません。しかも、大規模修繕のような場面に付け焼刃で挑むのは非常に困難でしょう。
しかし、専門家であれば困難な問題であっても対処が可能。あらゆる場面において頼りになります。
ただ、居住者の側でも協力が欲しいところ。写真や現状のメモを取っておけば話がスムーズに進みます。
7-2. 管理組合について
管理組合の位置づけと役割についてマンション全体で共有することも重要です。また、管理組合がイニシアチブを取りつつも、居住者間でのコミュニケーションを密にすることも必要でしょう。
管理組合が中心となり、コミュニケーションを活性化させれば、マンション内での風通しも良くなり、トラブル回避にも役立つはずです。
8. まとめ:トラブルを避けるために必要なこと
ここまでマンションの大規模修繕について取り上げました。今まで漠然と抱いて来た不安の回答の1つになったのではないかと思います。
さて、ここで、ここまで述べて来た項目の重要点を復習しましょう。
8-1. トラブルは「対処」よりも「予防」がベター
トラブルは実害が発生した後での「対処」よりも、発生する前の「予防」の策を打つ方がベターです。
実害が発生してからだと、その実害は二次的なトラブルも起こし得るためです。
予防策を講じておけば、トラブルまで発展するリスクも軽減されます。予防についても考えておきましょう。
8-2. 居住者間での理解と協力を得る
居住者間での理解と協力も欠かせません。
トラブルの多くの根底にはコミュニケーション不良がありました。その部分の対応が必要となるでしょう。
その点、居住者間で問題を共有すれば協力体制が出来上がり、大規模修繕に対する気運も出来上がるかも知れません。
ともかくとして、マンションにとって大規模修繕工事は一大イベント。居住者と管理組合で連携して上手く乗り切りましょう。
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