アパート経営の経費で落とせるもの一覧|節税効果を高める3つのコツ
- 2026年06月10日
アパート経営の利益を最大化するためには、どの支出が経費として認められるのかを正しく理解することが不可欠です。しかし、「この支払いは経費になるのだろうか?」と判断に迷うオーナー様も少なくありません。
アパート経営で発生する費用のうち、事業に直接関連するものは経費として計上でき、所得税や住民税の節税につながります。
本記事では、アパート経営で経費にできるもの・できないものを一覧で分かりやすく解説し、節税効果を高めるための3つの重要なコツもご紹介します。
この記事を最後まで読めば、経費に関する疑問が解消され、自信を持って確定申告に臨めるようになるでしょう。
目次
1. アパート経営で経費にできる費用一覧
アパート経営における経費とは、家賃収入を得るために直接必要となった費用のことです。 経費として認められる範囲は広く、税金から日々の運営費用まで多岐にわたります。これらの費用を漏れなく計上することが、手元に残る利益を大きくする第一歩です。
ここでは、経費にできる主な費用を6つのカテゴリーに分けて具体的に解説します。
1-1. 税金関連(租税公課)
アパート経営に関連して納める税金の一部は、「租税公課」として経費に計上できます。 対象となるのは、あくまで事業用として支払った税金です。
具体的には、以下のような税金が経費として認められます。
- 固定資産税・都市計画税
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 印紙税
- 個人事業税
これらの税金は、アパートという事業用資産を所有・取得・運営するために不可欠なコストです。 例えば、毎年課税される固定資産税や都市計画税は、経費の中でも大きな割合を占める項目の一つです。 納税通知書が届いたら、必ず保管しておきましょう。
1-2. 保険料関連
アパートを火災や地震などの災害から守るために加入する損害保険料も、全額経費として計上できます。 万が一の事態に備えるための重要なコストであり、事業運営上の必要経費と認められています。
対象となる保険の例は以下の通りです。
- 火災保険料
- 地震保険料
- 施設賠償責任保険料
保険契約が複数年にわたる場合、原則として支払った保険料を契約年数で割り、毎年1年分ずつを経費として計上します。 例えば、5年契約で保険料を10万円一括で支払った場合、毎年2万円ずつを5年間にわたって経費計上するのが基本です。
1-3. 管理・委託関連
アパートの管理を自分で行う場合でも、管理会社に委託する場合でも、そのためにかかった費用は経費になります。 日々の運営を円滑に行うための支出であり、事業に直結する費用だからです。
主な費用項目は以下の通りです。
- 管理会社への委託料
- 入居者募集のための広告宣伝費
- 不動産会社への仲介手数料
- 税理士や司法書士への報酬
特に、管理会社に支払う管理委託料は、家賃収入の5%程度が相場とされ、毎月発生する重要な経費です。 また、空室対策のために支払った広告費や、確定申告を依頼した税理士への報酬も、漏れなく計上しましょう。
1-4. 修繕・維持関連
建物の維持管理や入居者退去時の原状回復にかかる費用は、「修繕費」として経費計上できます。 アパートの資産価値を維持し、安定した家賃収入を得るために必要な支出です。
具体的には、以下のような費用が該当します。
- 退去時の原状回復費用(クロス張替えなど)
- 共用部の電球交換や清掃費
- 給湯器やエアコンなど設備の修理・交換費用
- 外壁塗装や屋上防水などのメンテナンス費用
アパートの修繕に関する費用は、その内容によって税務上の扱いが異なります。詳しくはアパート修繕費の経費計上|知らないと損する資本的支出との違いで解説していますが、建物の価値を高めるような大規模な改修は「資本的支出」と見なされ、一度に経費計上できない場合があるため注意が必要です。
1-5. ローン関連
アパートローンを利用して物件を購入した場合、その返済額のうち利息に相当する部分のみ経費として計上可能です。 元本の返済部分は資産の取得と見なされるため、経費にはなりません。
ローン関連で経費にできる費用は以下の通りです。
- 借入金の利息
- ローン保証料
- 融資手数料
金融機関から送付される返済予定表には、毎月の返済額のうち元本と利息の内訳が記載されています。 確定申告の際には、この書類を元に1年間の利息支払額を正確に計算し、計上する必要があります。
1-6. その他運営費用
上記以外にも、アパート経営という事業を運営するために必要となった様々な費用が経費として認められます。 ポイントは「事業関連性」を客観的に説明できるかどうかです。
例えば、以下のような費用が考えられます。
- 交通費(物件の視察、管理会社との打ち合わせなど)
- 通信費(入居者や業者との連絡用)
- 消耗品費(文房具、プリンターのインクなど)
- 新聞図書費(不動産投資関連の書籍やセミナー代)
これらの費用は、プライベートな支出と混同しやすいため、家事按分などの適切な処理が必要です。事業で使用した割合を明確にして、その部分だけを経費として計上しましょう。
2. 注意!アパート経営で経費にできない費用
アパート経営に関連する支出であっても、すべてが経費として認められるわけではありません。 経費にできない費用を誤って計上すると、税務調査で指摘され、修正申告や追徴課税のリスクが生じます。 ここでは、特に間違いやすい経費にできない4つの費用について解説します。
これらのルールを正しく理解し、適切な会計処理を心がけましょう。
2-1. 所得税・住民税などの個人的な税金
アパート経営で得た所得に対して課される所得税や住民税は、経費として計上することはできません。 これらの税金は、事業のコストではなく、オーナー個人が利益の中から納めるものと位置づけられているためです。
経費にできない税金の代表例は以下の通りです。
- 所得税
- 住民税
- 法人化している場合の法人税
固定資産税や不動産取得税が経費になるのに対し、所得税や住民税は対象外である点を明確に区別しておくことが重要です。 罰金や交通反則金なども、当然ながら経費にはなりません。
2-2. ローン元本の返済部分
アパートローンの返済額のうち、元本に充当される部分は経費にはなりません。 ローンの元本返済は、借入金という負債を減らすための支出であり、費用とは性質が異なるためです。
経費にできるのは、あくまで借入に対する手数料である「利息」部分のみです。 例えば、月々のローン返済額が10万円で、そのうち元本が7万円、利息が3万円であれば、経費として計上できるのは3万円だけとなります。金融機関が発行する返済予定表で、元本と利息の内訳を必ず確認しましょう。
2-3. 事業と無関係な個人的な支出
当然のことながら、アパート経営と直接関係のない個人的な支出は経費として認められません。 例えば、家族との食事代や趣味の物品購入費などを事業の経費に含めることはできません。
経費計上の大原則は、その支出が家賃収入を得るために直接必要であったかどうかです。 もし税務調査で事業との関連性を合理的に説明できない場合、その支出は否認される可能性があります。プライベートな支出と事業用の支出は、明確に分けて管理することが鉄則です。
2-4. 資本的支出と判断される大規模修繕費
修繕費の中でも、建物の価値を明らかに高めたり、耐用年数を延ばしたりするような支出は「資本的支出」と見なされ、その年の経費として一括計上できません。 資本的支出は、費用ではなく資産の取得として扱われ、減価償却を通じて数年間にわたって費用化されます。
資本的支出に該当する可能性が高い工事の例は以下の通りです。
- 建物の用途変更を伴うリノベーション
- 避難階段の増設など、新たな設備を追加する工事
- 建物の耐久性を大幅に向上させる大規模な改修
例えば、外壁の塗り替えは「修繕費」ですが、よりグレードの高い外壁材に変更する工事は「資本的支出」と判断されることがあります。 この区別は専門的な知識を要するため、迷った場合は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
3. 経費計上の判断基準と注意点
アパート経営の経費を正しく計上するためには、個々の費用項目を知るだけでなく、その背景にある判断基準や実務上のルールを理解しておくことが重要です。特に、事業とプライベートの両方に関わる支出や、金額の大きな修繕費については、税務署から厳しく見られる可能性があります。
ここでは、経費計上の可否を判断するための重要な考え方と、日々の管理で注意すべきポイントを解説します。
3-1. 「事業関連性」が最も重要な判断軸
ある支出が経費として認められるかどうかを判断する最も重要な基準は、「アパート経営という事業に直接関連しているか」という点です。 支出の目的が家賃収入を得るため、またはその収入を維持するために必要不可欠であったことを客観的に説明できる必要があります。
例えば、物件の状況を確認するための交通費は経費になりますが、同じ日にプライベートの用事を済ませた場合、その部分の費用は経費から除外しなければなりません。常に「この支払いは事業のためか?」と自問する癖をつけることが大切です。
3-2. 家事按分の考え方と具体的な計算方法
自宅の一部を事務所として使用している場合の家賃や光熱費、プライベートと事業で兼用している自動車の維持費など、事業と個人の両方に関わる支出を「家事関連費」と呼びます。これらの費用は、事業で使用した分だけを合理的な基準で按分(あんぶん)し、経費として計上します。
例えば、スマートフォンの通信費を按分する場合、1日のうち事業で通話や通信を行った時間の割合で計算する方法が考えられます。自宅兼事務所の家賃であれば、総床面積のうち事業用に使用しているスペースの面積割合で計算するのが一般的です。客観的で合理的な基準を設定し、その計算根拠を記録しておくことが重要です。
3-3. 領収書・レシートの正しい保管方法と期間
経費を計上するためには、その支払いを証明する領収書やレシートが必須です。これらの書類は、税法によって一定期間の保管が義務付けられています。保管期間は確定申告の方法によって異なります。
- 青色申告の場合:原則7年間
- 白色申告の場合:原則5年間
この期間は、確定申告の提出期限の翌日から数えます。 例えば、2025年分の確定申告(提出期限:2026年3月15日)に関する領収書は、青色申告の場合、2033年3月15日まで保管する必要があります。税務調査は数年経ってから行われることもあるため、確実に保管しておきましょう。
※出典元:領収書の保管期間は5~10年!知らないとまずい基礎知識(ジンジャー株式会社・2025年)
3-4. 修繕費と資本的支出の違いと見分け方
修繕に関する支出が、その年の経費になる「修繕費」か、資産として計上する「資本的支出」かの判断は、非常に重要かつ複雑です。 基本的な考え方は、「原状回復か、価値向上か」という点にあります。
国税庁は、判断に迷う場合のための形式的な基準も示しています。 例えば、一件あたりの支出額が20万円未満の場合は修繕費として扱ってよいとされています。 また、工事の内容が明らかに建物の価値を高める(例:避難階段を新たに取り付ける)場合は資本的支出、単なる補修(例:壊れたガラスを交換する)であれば修繕費となります。 この判断は節税額に大きく影響するため、専門知識を持つ第三者の専門家に相談するのが賢明です。
※出典元:第8節 資本的支出と修繕費(国税庁)
4. 節税効果を最大化する経費計上の3つのコツ
アパート経営において経費を漏れなく計上することは、節税の基本です。しかし、さらに節税効果を高めるためには、いくつかの制度や仕組みを戦略的に活用することが重要になります。ここでは、特に効果の大きい3つのコツを紹介します。
これらのポイントを実践することで、手元に残るキャッシュフローを大きく改善できる可能性があります。
4-1. 青色申告の活用で最大65万円の特別控除を受ける
不動産所得の確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類がありますが、節税を考えるなら青色申告が断然有利です。青色申告を選択すると、様々な税制上の特典を受けられますが、最大のメリットは「青色申告特別控除」です。
一定の要件を満たすことで、所得金額から最大65万円を控除できます。 例えば、課税所得が500万円の場合、65万円を控除できれば所得税・住民税を合わせて約20万円の節税につながります。65万円控除を受ける主な要件は、複式簿記での記帳と、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存です。
※出典元:No.2072 青色申告特別控除(国税庁・2025年)
4-2. 減価償却の仕組みを理解し、適切に計上する
減価償却費は、アパート経営における最も大きな経費の一つです。 減価償却とは、建物や設備などの高額な資産の取得費用を、法定耐用年数にわたって分割して経費として計上する会計処理のことを指します。
実際にお金が出ていくわけではないのに経費として計上できるため、節税効果が非常に高い「帳簿上の経費」と言えます。 例えば、木造アパートの法定耐用年数は22年です。 建物価格が4,400万円であれば、毎年200万円を減価償却費として計上できます。この仕組みを正しく理解し、毎年忘れずに計上することが、賢い節税の鍵となります。減価償却の詳しい計算方法については、【図解付き】アパートリフォームの減価償却の記事で詳しく解説しています。
4-3. 漏れなく計上するための経費管理術
どんなに小さな支出でも、事業に関連するものであれば経費として計上すべきです。しかし、日々の細かな支払いは見落としがちになります。経費の計上漏れを防ぐためには、日頃からの管理が重要です。
具体的な方法として、以下のような工夫が考えられます。
- 事業専用のクレジットカードや銀行口座を用意する
- 会計ソフトやアプリを活用してレシートを撮影・記録する
- 月ごとに領収書を整理し、Excelなどで一覧表を作成する
特に、事業専用のクレジットカードを利用すると、利用明細がそのまま経費の記録となり、管理が非常に楽になります。こうした仕組みを導入することで、確定申告の時期に慌てることなく、漏れのない経費計上が可能になります。
5. まとめ:アパート経営の経費を正しく理解して賢く節税しよう
アパート経営における利益を最大化するためには、経費の知識が不可欠です。何が経費になり、何がならないのかを正確に把握することが、賢い節税への第一歩となります。
この記事で解説した重要なポイントを以下にまとめます。
- 事業関連性が経費判断の最も重要な基準
- ローン返済は利息部分のみが経費対象
- 所得税や住民税は経費にできない
- 青色申告と減価償却の活用が節税の鍵
- 領収書は青色申告で7年間保管が必要
経費の管理や修繕計画は、専門的な知識が求められる場面も少なくありません。特に、大規模修繕の費用が修繕費になるか資本的支出になるかの判断は、その後のキャッシュフローに大きな影響を与えます。
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